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LGBTフレンドリー企業が日本で評価されない理由

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「LGBTが働きやすい会社」として表彰された企業の代表たち

以前、LGBTフレンドリー企業を自称する会社で働いていた人から話を聞く機会がありました。
彼はその会社に就職するときの面接で、自分がホモであることは黙っていたそうですが、直属の女上司がネットで彼のことを調べて大学時代にゲイサークルに所属していたことを突き止め、
「今度、入ってくる人はゲイらしい」と社内で言いふらしたというのです。
彼は、その女上司に「業務とは関係のない個人のプライバシーに関する事柄を吹聴するのはやめてほしい」とやんわり頼んだそうですが、
「ウチはLGBTフレンドリーな会社だからいいじゃない。隠さずに行きましょうよ。その方があなたもラクでしょ?」
と開き直ったといいます。

その女上司が吹聴したおかげで、彼がホモであることは会社中に知れ渡り、オフィス内にあるカフェに飲み物などを買いに行くと、 全然知らない部署の人間がニヤニヤ笑いながら近づいてきて、
「OOさんてゲイなんですってね」
と話しかけてきて、
「そうですが」
と不愛想に答えると、
「いや、僕はそういうのに差別や偏見はもってないですから」
といいつつ、
「それでエッチの時は男役と女役どっちなんですか? 」
などと失敬なことを訊いてきたといいます。
LGBTフレンドリーを口実にセクハラまがいの発言をするその社員に腹が立ったといいますが、そういう社員は後を絶たず、その会社にいる間はずっとそのような質問に悩まされ続けたといいます。
現在、彼はそのLGBTフレンドリーの会社を辞めて、新しい会社で働いているそうです。
今の会社は前の会社のようなLGBTフレンドリーを標榜する意識高い系企業ではなく、ごくフツーの日本企業だそうですが、こちらの方がずっと働きやすいといいます。
今の会社でも、上司や同僚は彼がホモであることを薄々感づいているそうですが、だれもそのようなことを口にしないといいます。
彼が会社でやっている業務と彼のセクシュアリティーはまったく無関係なのだから、それがあたり前なのですが、当事者の大半が自分のセクシュアリティーを会社でカミングアウトしないのは、
いったん、カミングアウトすると、「ホモのOOさん」とか「レズのOOさん」というレッテルを貼られて色眼鏡で見られ、前述したような下劣な好奇心の対象になるからです。
LGBTフレンドリーを標榜する企業や自治体では、LGBTの社員や職員を対象に、結婚祝い金を贈ったり、配偶者控除を行うところも出ているといいますが、
そんな無くてもかまわない恩典のためにカミングアウトして、社内で好奇の目に晒されることを選ぶ当事者の社員や職員がいるとは思えません。
むしろ、自分が働く会社や職場がLGBTフレンドリー宣言なんかしたら、自己防衛のためにこれまで以上に自分のセクシュアリティーを隠すようになるでしょう。
また同じ理由で、ホモやレズの就活生がLGBTフレンドリー企業を敬遠する可能性もあります。
LGBT活動家を自称する連中は、「LGBTには才能のある人間が多いから、そのような優秀な人材を活用しないと企業の損になる」と主張していますが、
本当に優秀な当事者は、実力で勝負できるので、わざわざ自分のセクシュアリティーをカミングアウトする必要はないし、カミングアウトして特別扱いされることを望みません。
そもそも日本では、同性愛者であろうがなかろうが、これまで何の問題もなく、企業に雇用され、働いてこれたわけで、
LGBT当事者の中で唯一、就職の困難を抱えているといわれている外見の性と戸籍の性が一致しないTのトランスジェンダーでさえ、実力のある人間は、ちゃんと就職先をみつけて働いているといいます。
そのため、わざわざLGBTフレンドリー企業を選んで応募してくるのは、LGBT当事者であること以外になんの取り柄もない無能な人間だけになる可能性が高いのです。
それでも構わない、CSR(企業の社会的責任)の一環として、敢えてそのような無能なLGBT当事者を採用して社員にするというのであれば、勝手にやってくださいというしかありませんが、
日本は、アメリカなどと違って、元々同性愛者差別は強くないことから、LGBTフレンドリーを宣言する企業が評価される文化的・社会的な背景は存在せず、
むしろ「LGBTフレンドリー」という言葉にたいして多くの当事者が違和感や不信感を抱いている事実を覚えておいた方がいいでしょう。
たとえば、LGBTフレンドリー宣言している某外資系企業は、人遣いが荒く、ノルマを達成できない社員をすぐにクビにすることで知られていますが、
そういうブラックな実態を隠すためにLGBTフレンドリーを標榜しているのではないかと当事者の間では疑われています。
いわゆるピンクウォッシュですが、新入社員の女性社員が過重労働やセクハラ&パワハラで自殺したことで2016年のブラック企業大賞を受賞した電通を、
松中権という電通の現役社員が代表を務めるwork with prideなる任意団体が「LGBTが働きやすい会社」として表彰したことなどはその典型です。
女性社員が度重なるパワハラ&セクハラで自殺した会社を「LGBTが働きやすい会社」として表彰することがいかにLGBT当事者を愚弄した行為であるか、この自称エリートゲイは理解できないのでしょうか?
まあ、理解できないから、恥ずかしげもなくエリートゲイを自称できるのでしょうが、こういう鈍感かつ独善的な活動家のおかげで、
LGBTフレンドリーという言葉を聞くだけで疑ってかかるLGBT当事者が増えているわけで、企業もそのうちLGBTフレンドリーを名乗ることのデメリットに気がつくのではないでしょうか。

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