この映画は、マイアミの犯罪多発地域の母一人子一人の母子家庭で育った黒人の少年、シャロンの成長を描いた作品で、今年のアカデミー作品賞を受賞しています。
少年になぜ父親がいないのか、映画では説明されていませんが、アメリカでは黒人の子供の70パーセントは未婚の母から生まれるそうで、
そういう意味では、彼の家庭はアメリカの「標準的な」黒人家庭といえるかもしれません。
母親は、おそらく生活保護を受けているのでしょう。定職をもっているようにはみえませんが、ときどき、ドラッグを買う金を稼ぐために売春しているようです。
家にときどき男を連れ込みますが、そんなときはシャロンはどこか別のところに泊りに行くようにいわれます。
そんなシャロンの父親代わりになって面倒をみてくれるのが、イジメっ子に追いかけられて逃げ回っていたときに助けてくれた麻薬の売人のフアンです。
シャロンが長ずるに及んで麻薬の売人になるのは、このフアンの影響かもしれません。
しかしフアンはまもなく死んでしまい、ハイスクールに入学したシャロンは、同級生たちにファゴット(おかま野郎)とか、ファギー(おかまっぽい)と呼ばれて激しいイジメに遭います。
アメリカのハイスクールにはスクールカーストという学校内の階層があって、ファゴット(おかま野郎)は最下位のカーストで、上位のカーストの生徒からイジメられるそうですが、
ファゴットのカーストに入れられるのは必ずしもホモの生徒とは限らず、スポーツをしない弱々しいタイプの生徒はみんなこのカーストに分類され、イジメの対象になるそうです。
私も子供の頃は、女性的な子供でよくイジメられましたが、言葉でイジメられるだけで(それだけでも十分に傷つきましたが)、この映画のシャロンの場合のように暴力を振るわれることはなかったです。
またイジメを受けたのは小学校に入学するまでで、小学校に入ってからは、学校で女っぽいという理由でイジメを受けることはありませんでした。
アメリカの学校で、女っぽい生徒や弱々しいタイプの生徒がイジメの標的になるのは、アメリカのマッチョ文化が背景にあるからでしょう。
子供の頃、アメリカの西部劇を観て、ジョン・ウェインやリー・マーヴィンのような大男がまるでスポーツを楽しむかのように殴り合いをするのをみて、子供心に「こんな国に生まれなくてよかった」と思ったことを覚えていますが、
アメリカではジョン・ウェインのような腕っぷしの強い男が「本物の男」として尊敬されるのです。
話は変わりますが、五嶋龍という若手ヴァイオリニストがいます。
天才ヴァイオリニストといわれた五嶋みどりを姉にもち、彼自身、幼少の頃からその才能を認められてきたそうですが、
「題名のない音楽会」というテレビ番組ではじめて彼をみたとき、そのマッチョな体型に驚きました。
別にヴァイオリニストがマッチョだったらいけないということはないのですが、私のイメージするヴァイオリニストはキムタクみたいな長髪の優男だったので、そのイメージとだいぶ違うので驚いたのです。
聞くところによると、彼はアメリカで生まれて育ったそうで、ヴァイオリンの練習と並行して空手道場に通っていたのだそうです。
もうひとり、カナダで天才児の認定を受けて、飛び級で14歳で現地の大学に入学した日本人少年の話を聞いたことがありますが、彼もまた空手を習っているそうです。
なぜアメリカで日本人の少年は空手を習うのか?
たとえヴァイオリンや勉学に秀でていたとしても、アメリカで生活する限り、アジア系ということでイジメや差別を受ける可能性があり、
それらのイジメや差別はしばしば暴力を伴うことから、自衛手段として空手を習っていることが考えられます。
また男は、ヴァイオリンや勉強ができるだけでは十分ではない、男だったら喧嘩も強くなければダメだという、アメリカのマッチョ思想の影響を受けている可能性もあります。
いずれにせよ、彼らがアメリカではなく、日本で育っていたら、空手ではなく、野球やサッカーを選んでいたのではないかという気がします。
アメリカのゲイたちもアメリカのマッチョ文化から強い影響を受けていて、アメリカでゲイリブの運動が盛んになると、
それまでの男性同性愛者=女っぽい男性というステレオタイプのイメージを拒絶して、みずから男らしいゲイ(Male Identified Gay)を標榜するようになります。
実際には世界中どこに行ってもホモには女っぽい人間が多いし、アメリカにも女っぽいホモはいくらでもいるのですが、
それでもアメリカのゲイの主流が表面的にせよ「男らしさ」を追い求めているという事実は、本来であれば、「男らしさ」を強調するマッチョ文化のアンチテーゼになる筈のゲイカルチャーが、
アメリカ文化の基層にあるマッチョ文化のくびきから逃れることができないことを示していて、私はそこにアメリカのゲイリブの限界を感じます。
日本でもアメリカのゲイリブの影響を受けたのか、「自分は女っぽくない、テレビに出るおねえタレントと一緒にされたくない」
などとのたまう短髪で髭を生やしたイカホモ系と呼ばれるホモがいますが、私にいわせれば、ホモという人種は、短髪にしようが、髭を生やそうが、中味がオンナであることに変わりありません。
彼らは、テレビに出ているおねえタレントを「わざと女っぽく振舞って笑いをとってる」と批判していますが、そんなことはありません。
あれが本来のホモの姿であって、おねえタレントたちは「ありのままの自分」を見せているだけなのです。
おねえタレントがゲイリブ運動に冷淡なのは、日本のゲイリブ運動が女っぽい男の存在を否定するアメリカのゲイリブ運動のサル真似でしかないことを見抜いているからで、
Made in Americaのゲイリブなどに頼らなくても、ありのままの自分で生きていけるだけの実力を持っているのです。
いずれにせよ、本来、女性的であるホモが男っぽくなることを強制されず、自分の中のオンナを出して生きていける日本は、
同性婚が法律で認められているかどうかは別にして、本質的な部分で同性愛者に優しい国だと思います。
上の写真のような過剰な男らしさを誇示するアメリカのイカホモ系のゲイを見るたびに、彼らの子供時代は、女性的で、なよなよしたイジメられっ子ではなかったかと想像していたのですが、
映画の後半、見違えるようなマッチョな青年になって登場した主人公をみて、「やっぱり!」と納得したのでした。
本日のつぶやき
フランス大統領選挙。得票数だけみればマクロンの圧勝だけど、60歳以上の80パーセントがマクロンに投票したのにたいして、若者の44パーセントはルペンに投票したという。
マクロンが5年の任期中に若者世代の不満を解消できなければ、次はルペンが勝つ可能性がある。
つぶやき2
城之内 みな @minajyounouchi 日本国民からは逃げ回っても、差別利権と聞けばノコノコ出てくる辻元清美議員。
つぶやき3
朝鮮人慰安婦に謝罪が必要のない理由http://blog.livedoor.jp/kanedashoji70/archives/70449970.html
慰安婦と名乗り出ていない元朝鮮人慰安婦の証言「登録している(名乗り出ている)韓国人の元慰安婦は全員ニセモノ」「日本の統治時代は良かった」と口を揃えていう。慰安婦になったお陰で、たった1~2年で郷里に家を建て、立派なお店を出せるようになるまで稼ぐことができたから。