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ドイツ帝国の勃興(2)

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エマニュエル・トッドがこれほどまでにドイツという国家を毛嫌いし、ドイツがヨーロッパの覇権を握ったときの危険性について警告するのは、彼がユダヤ系であることと無関係ではないでしょう。

我々日本人は、ドイツに対して、非常に規律の取れた合理的な文化を持つ国であるというイメージを抱いていますが、

トッドは、「ドイツというのは計り知れないほどに巨大な文化だが、人間存在の複雑さを視野から失いがちで、アンバランスであるがゆえに恐ろしい文化でもある」と語っています。

また「ドイツの権威主義的文化は、ドイツの指導者たちが支配的立場に立つとき、彼らに固有の精神的不安定性を生み出す」と述べ、

「悲しいことに、ドイツの行方は私にとって完全に未知数というわけではない」と付け加えています。

このように語るとき、トッドの頭にあるのは当然のことながら、ナチスドイツによるユダヤ人の大量殺戮「ホロコースト」でしょう。

考えてみれば、一つの民族を地上から完全に抹殺しようという企て自体、常人には到底、思いつかない、途方もない発想なのですが、

ドイツ人の恐ろしいところは、単にそのようなトンデモナイことを思いつくだけでなく、信じられないような効率の良さでそれを実行してしまうことなのです。


昔、アウシュビッツ収容所におけるユダヤ人虐殺を描いた『夜と霧』(1955)というドキュメンタリー映画を観たことがありますが、

ドイツ人たちがガス室で殺したユダヤ人の死体を、髪の毛をかつらの材料に使い、身体の脂肪分を固めて石鹸を作り、死体の皮膚は引きはがしてランプシェードにするなど、徹底的して再利用しているのに驚きました。

こういう死体をモノとして扱って再利用するという発想は牧畜民特有のもので、農耕民族である日本民族からは絶対に生まれません。

ホロコーストのようにドイツ人が非合理的な衝動に駆られて、それをドイツ人特有の卓越した組織力と規律正しさで着々と実行に移していくときの恐ろしさを一番骨身に沁みて知っているのはユダヤ人しかいないわけで、

トッドがフランスが完全にドイツの支配下に入った暁には、アメリカに亡命すると明言しているのは決して誇張ではなく、真剣にその選択肢を考慮しているのではないかという気がします。

実際、アメリカにはナチスの迫害を逃れてアメリカに亡命した彼の身内が沢山、住んでいるのです。

ドイツ人と結婚してドイツに30年住んでいる評論家の川口マーン恵美さんは、ドイツ人の持つ非合理性が遺憾なく発揮された例として2011年に福島原発事故が起きたときにドイツ国民がパニックに陥ったことを挙げています。

川口さんによると、当事国の日本以外で福島原発事故で一番大騒ぎした国はドイツで、日本に住んでいた外国人で事故を受けて真っ先に日本から逃げ出したのが中国人とドイツ人だったといいます。

ドイツのテレビでは事故が起こってから連日、放射能のお蔭で東京も含めて東日本は住めなくなるなどと大げさな報道を行い、

その結果、ドイツでは、放射能を吸引したときの甲状腺異常を予防するヨウ素剤や放射線測定器が大量に売れたそうです。

またドイツは元々、反原発運動の歴史が長いそうですが、福島原発事故を受けて脱原発の声が国民の間で高まり、ついに6月30日に連邦議会は脱原発法を可決してしまいます。

原子力エネルギーを使わないことに決めたドイツは、再生可能エネルギー、すなわち、太陽光発電や風力発電に頼るようになったのですが、

政府が再生エネルギーで生成された電力を全量、高価格で買い取ることを決めたために、そのしわ寄せが消費者に行き、電気代が18パーセントも上昇したそうです。

また太陽光も風力もお天気次第で電力生産が一定しないことから、不足分を補うために石炭を使った火力発電を増やすようになり、その結果、ドイツ国内の空気汚染が進んだといます。

私にはドイツの脱原発政策はまったく意味がないように思われます。

ドイツと国境を接している隣国のフランスは原発大国で、原子炉が59基もあり、万一、フランスで原発事故が発生した場合、放射能は風に乗ってドイツに飛んで来るのです。

もうひとつドイツ人の非合理的な精神が露呈したのは今年、起こったドイツへの難民の大量移動だったと思います。

ドイツのメルケル首相が「ドイツは難民を歓迎する」と宣言したお蔭で、大量の難民がドイツを目指して移動するようになり、

ドイツへの通り道にあたる旧ユーゴ連邦諸国やハンガリーは突然押し寄せてきた難民たちの対応をめぐって大混乱に陥り、

さらにドイツ国内でもミュンヘン市などが大量の難民を受け入れる準備が出来ていないとして難民受け入れを決めた連邦政府を非難する事態に立ち至ったのです。

ドイツの労働力不足を難民で解決したいという思惑はあったにせよ、私はメルケル首相の難民歓迎メッセージは基本的に「善意」で出されたものだと思っています。

前述の川口マーン恵美さんによると、ドイツ人は自分たちは善いことをするのが好きな国民であると考えたがる傾向があるそうで、メルケル首相の難民受け入れ宣言もそのような国民性に従ったものだと思われます。

ただたとえ善意から出たものであっても、結果的に大混乱を引き起こし、周辺諸国にも大きな迷惑をかけたわけで、やはりドイツはヨーロッパの困ったちゃんではないかという気がします。

あとトッドは、ドイツはウクライナ紛争を巡ってロシアと冷戦状態になる一方で、中国に接近しているといいます。

そして1930年代のドイツが長い間、中国との同盟か、日本との同盟かで迷い、ヒトラーが蒋介石に軍備を与えて彼の軍隊を育成し始めたことがあったという過去の歴史を喚起しています。

実際、現在でもドイツと中国は経済的に非常に密接な関係にあり、メルケル首相は日本にはめったに来ないけど、中国は頻繁に訪問しています。

2012年に中国各地で反日デモが吹き荒れ、日本企業の工場や日系デパートが暴徒に襲撃され、日本車に乗っていた中国人が群集から暴行を受けたとき、

中国のアウディ販売店が「華夏がすべて墓になろうとも、日本人は皆殺しだ! たとえ中国に草木がなくなろうとも魚釣島を取り戻せ!」と中国語で書かれた横断幕を掲げた写真がネットで広まり、日本人にショックを与えました。
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アウディ本社は現地の販売店の中国人社員が勝手にやったことだと弁解しましたが、ドイツの自動車メーカーが中国各地で日本車が壊されているのを見て、

ドイツ車の中国での販売を伸ばすチャンスだと考えたことは想像に難くありません。

実際、VWの2014年の世界販売台数1014万台の内、中国での販売台数が36パーセントの367万台を占めているのです。

この調子で行くと2015年のVWの世界販売台数はトヨタを抜いて世界一になると予想されたのですが、

VWの排ガス不正問題があかるみに出て、また中国経済が停滞期に入ったことで、トヨタを抜いて世界一になるというVWの野望は挫折してしまいました。

なにはともあれ、ヨーロッパとアジアの嫌われ者同士が仲良く沈んでいくのを見るのは気持ちの良いものです。


本日のつぶやき

日本 核保有国の賛同得られず
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6179719

だったら、日本も核武装しますって言えばいいじゃないw


つぶやき2

f0107398_15491710.jpg渋谷区「同性パートナーシップ証明書」発行第1号カップル

この渋谷区お抱え芸人以外に申請したカップルはいるのかしら?





つぶやき3

同性パートナーも受取人に=死亡保険金でライフネット生命

保険金目当ての殺人事件が増えるでしょうね。


つぶやき4
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つぶやき5

法的拘束力のまったくない渋谷区のパートナーシップ証明書を取得するために法的拘束力のある公正証書の提出を求めるなんておかしくない?




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