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イスタンブールの休日(5)

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☆ ブルーモスク

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補修工事中のブルーモスク

イスタンブール滞在5日目は、トプカピ宮殿、アヤソフィア、ブルーモスクを回ることにしました。

これら三つにグランドバザールを追加したものがイスタンブールの定番観光スポットで、過去、三回のイスタンブール訪問では毎回、訪れていて、今回はパスしてもよかったのですが、

折角、イスタンブールに来ながら、これらの場所をパスするのは、カイロに行ってピラミッドを無視するようなもので、やっぱり行っておくべきだと思ったのです。

午前中、タクシーでトプカピ宮殿まで行ったら、朝9時半から入場できる筈なのにラマダンのせいで午後1時半からしか開かないとのこと。

それでトプカピ宮殿の後方に聳えるアヤソフィアに行くと、ここもラマダンのせいで午後1時からしかオープンしないといいます。

それで更に後方にあるブルーモスクへ。

ここはオープンしていて中に入ることができたのですが、現在、補修工事中だとかで、ドーム内部には工事用の支柱が何本も立っていて、あの神秘的なドームの雰囲気をぶち壊していました。

悪い時期に来てしまったと思って外に出ましたが、時刻はまだ10時半、トプカピ宮殿やアヤソフィアが開くまで暑い中、何時間も待つのは大変なので、これらの場所は翌日の午後に行くことに決め、

翌日、行く予定だったそこからあまり遠くないグランドバザールに行くことにしました。

ところがなんとグランドバザールも行ってみると、ラマダンのために閉まっていました。

この日を含めて3日間、休みだそうで、それを知っていたら、前日のうちに来ていたのにと思ったものの、後の祭り。

しかし連続3日間休みということは、ラマダンではなく、ラマダン明けの休日だったのかもしれません。

ラマダンが始まったのはちょうど1ヶ月前、ケニアにいたときだから、今頃がラマダンの終わる時期なのです。

イスタンブールで、ラマダンのことをあまり意識しなかったのは、ラマダン中であっても、ほかのアラブ諸国みたいに昼間、レストランが閉店するようなことはなく、屋台も普通に営業していて、

レストランでは、イスラム教徒である筈のトルコ人が昼間から堂々と食事をし、ビールを飲み、煙草を吸っていたからです。

トルコではイスラム教徒であっても、ラマダンの期間中に断食をしない人間が多く、周囲の人間もそれを許容しているようなのです。

それだけトルコ人は世俗的になっているということでしょうが、アラブ圏では、国によっては、非イスラム教徒の外国人であっても人前でモノを食べたり、煙草を吸ったりすると咎められることが多いので、

このトルコの自由さは、わたしの目には新鮮に映りました。

近年、アラブ諸国では、保守化が進行しているせいか、ラマダン中でなくともアルコールを出さないレストランが増えていて、酒類を売っている店も少なく、酒を飲むのに人目を憚るような雰囲気になっていますが、

イスタンブールでは、大抵のレストランでビールが置いてあるし、街中の雑貨屋みたいなところでも、店内の冷蔵庫にはミネラルウォーターやコーラやジュースのような非アルコール飲料と共に、

缶ビールや瓶ビールが入っていて、さらにはワインやウィスキーまで売っていて、酒好きには有難かったです。

トルコのビールの銘柄で多いのは、シリアのアレッポでも飲んだことのあるトルコ製のビールであるEfesとデンマーク製ビールとして知られるTuborgとCarlesberg。

なぜトルコでデンマークの銘柄のビールが多いのかよくわかりませんが、多分、トルコでこれらのビールを委託製造しているのでしょう。

もうひとつイスタンブールで驚いたのは、若い女性。6月といっても連日30度に達する暑い日が続いていたのですが、そんな中、タンクトップにショートパンツ、キャミソールのような肌を露出した服装の若いトルコ女性が多数、歩いているのです。

過去、イスタンブールには3回、訪れているのですが、いずれも冬の寒い時期だったので、女性の夏の薄着がいつ頃から見られるようになったのかよくわかりませんが、

トルコ共和国の建国の父、ケマル・アタチュルクが政教分離の世俗主義を国是として定めた以来の伝統ではないかと思います。

一方でヒジャブという呼ばれるスカーフを被って頭を覆っている女性もいますし、頭のてっぺんからつま先まで黒衣で覆い、顔も下半分はニカブという黒い布で覆っている女性もみかけました。

もっとも露出派と較べると彼女たちは少数でしたが。

いずれにせよ、ラマダン中であるにも関わらず、イスタンブールのレストランの通りに面したテラス席に座って公然と食事をし、ビールを飲み、煙草を吹かす肌を露出した若いトルコ女性を見たとき、ある種の感動を覚えましたね。

ケマル・アタチュルクが政教分離の世俗主義を国是としたおかげで、トルコの女性はこれだけの自由を享受しているのです。

そもそも、湾岸諸国などで見かけるあの黒ずくめの衣装を「イスラムの伝統」と呼ぶのは間違っています。

あれはイスラム以前の部族の衣装に過ぎないのです。

6月24日に再選された保守的な地方を支持基盤にしているエルドアン大統領は政教分離の国是を無視して、大学のキャンパスや公務員のヒジャブの着用を認めるなどイスラム保守路線に回帰しつつあるようですが、

地方ならともかく、イスタンブールのような大都市で生まれ育って自由を享受している若者たちが、彼のいうことに素直に従うとは思えません。


☆ トルコ料理

トルコ料理は、フランス料理、中華料理と並んで世界三大料理に挙げられているそうですが、ちょっと過大評価ではないかという気がします。

たとえば日本料理やタイ料理、イタリア料理などはトルコ料理に負けないだけのブランドを獲得しているし、内容もトルコ料理を凌駕しているような気がします。

それでもトルコ料理が旨いことに変わりありません。

わたしの好物はシシカバブで、滞在していたホテルの近くの横丁にあるレストランで毎日、食べてました。

シシカバブは羊肉を串刺しにしたもので、日本ではなぜか羊の肉が美味しくないんだけど、トルコで食べた羊肉のシシカバブは本当においしかったです。

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横丁の食料品店

続く

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