☆ ボスフォラス海峡クルーズ
翌日、前日に遅刻して乗れなかったボスフォラズ海峡クルーズのフェリーに乗るためにエミノーニュ波止場へ。
この日もホテルからエミノーニュ波止場に歩いて向かったのですが、方向音痴のわたしは真っすぐたどりつけず、自動車道路に出てしまい、そこからバスでエミノーニュに出る羽目に。
エミノーニュに着いてからも、前日、確認したボスフォラズ海峡クルーズのフェリー乗り場を中々、見つけることができず、1時15分の出航間近にようやくたどり着いてチケットを購入、乗船したのでした。
ボスフォラズ海峡クルーズは、エミノーニュを出発して、黒海近くの折り返し地点であるアナドル・カヴァウまで北上し、
アナドル・カヴァウに上陸して数時間滞在したあと、またエミノーニュに戻ってくるというコースで、
フェリーの乗船時間は片道1時間半、往復3時間で、アナドル・カヴァウでの滞在時間を含めると所要時間は4時間半くらいになります。
エミノーニュの埠頭を出たフェリーは、ゆっくりと海峡を進んでいきます。
海峡の両岸にはオスマン朝時代のサルタンが建てたドルマバフチェ宮殿やベイレルベイ宮殿や貴族の別荘が建ち並んでいます。
建物の正面は海に面していて、かっては海から上陸していたことがわかります。
フェリーはボスフォラス海峡に架かる最初の橋、第一ボスフォラス橋を通り過ぎて、日本企業によって建設された二番目の橋、ファーティフ・スルタン・メフメト橋に近づいていきます。
この二番目の橋に近づいて行くと、コンスタンチノープルを攻落したオスマン帝国のメフメット2世が1452年に建造した砦であるルメリ・ヒサルが左手、ヨーロッパ側に見えてきます。
二番目の橋のすぐ近くにルメリ・ヒサルの砦があるのは偶然ではありません。
ここがボスフォラス海峡の幅が一番狭くなっているところだからです。
ルメリ・ヒサル砦のアジア側の対岸には、アナドル・ヒサルという砦がずっと前に建造されていて、メフメット2世は、ここで地中海貿易で覇を競っていたベネティアとジェノヴァの艦隊を挟み撃ちにしたのです。
ボスフォラス海峡に架かる橋は二つだけだと思っていたのですが、折り返し地点のアナドル・カヴァウに近づくにつれて三番目の橋が見えてきました。
この橋は2016年に交通渋滞の緩和を目指して黒海入り口に建設されたボスフォラス海峡の第三の橋、ヤヴズ・スルタン・セリム橋です。
ボスフォラス海峡は昔からヨーロッパ側とアジア側を結ぶ交通の障害になっていて、それを解決するためにこれらの橋が架けられているのですが、
これら三本の橋に加えて、2013年には、ボスフォラス海峡の両岸を結ぶ地下トンネルが日本企業によって建設され、2016年には韓国企業が二本目の地下トンネルを建設しています。
トルコは親日的な国として知られていますが、最近では中国への接近が目立っているそうです。
トルコはEU加盟を悲願としていて10年以上にわたってEUと加盟交渉を続けているのですが、EU側はなんだかんだと口実をつけてトルコの加盟を拒否してきました。
キリスト教国家の共同体であるEUにイスラム国であるトルコを加盟させたくないというのが、EUの本音らしいですが、
ギリシャがEUに加盟できているのにトルコが加盟できないのはそれ以外の理由は考えられません。
業を煮やしたトルコ政府は「なにがなんでもEUに加盟したいとは思わない」と言い出しているそうですが、
最近のイギリスのEU離脱などを見ているとEUが崩壊する可能性も無きにしも非ずで、トルコ側もEU加盟に便々とする気はなくなってきているようです。
EU加盟を阻止された意趣返しか、トルコは中国が主催する多国間の協力機構である上海条約機構に加盟する可能性を仄めかしています。
ソ連の崩壊によって中央アジアにカザフスタンやウズベキスタンなど語尾に「スタン」が付くスタン国がいくつか生まれたのですが、これらスタン国の国民の大半を占めるトルコ系の民族は、トルコ語系の言語を話し、
トルコ人と会話するのに支障ないそうで、これらの国々からトルコへの留学生も増え、トルコは今やこれら中央アジアのスタン国の宗主国的な存在になっているそうです。
そのため、トルコとしては上海条約機構のパートナーになることで、中国の一帯一路政策に便乗して、これらスタン国のインフラ設備を中国にやらせたいという意向があるといいます。
また最近、トルコはイランやロシアと共にシリア和平会談の当事者になってますが、シリアを含むすべてのアラブ諸国は、かってはオスマントルコの領土だったわけで、
現在でもトルコは元宗主国としてアラブ諸国にたいして隠然たる影響力を保持しているといわれています。
つまり、トルコとしては今更EUに加盟してヨーロッパの一国として認めてもらわなくとも、中東の大国として十分にやっていけるという自信を深めているということらしいです。
アナドル・カヴァウに上陸してみたら、観光客向けのレストランと土産物店しかないところで、サンドウィッチを売る屋台などはなく、嫌でも高いツーリストプライスのレストランで食事をしなければならない仕組みになっていました。
というわけで海に面したレストランで割高の食事を済ませて戻りのフェリーに乗り込んだのですが、フェリーはまっすぐエミノーニュに向かわずにあちこちの埠頭に立ち寄りながら進んでいったので、
わたしは間違えてエミノーニュのひとつ手前のヨーロッパ側の埠頭で船を降りてしまいました。
そこはなんという埠頭か知りませんが、埠頭の前の広場はバスターミナルになっていて、広場に面した屋台の兄ちゃんにエミノーニュに行くにはどのバスに乗ったらよいかと訊くと、 28番バスに乗れば、エミノーニュ経由でカバタシュまで行けると教えてくれました。
前日、シルケジから路面電車に乗ってカバタシュまで行って、タクシム経由でホテルの近くの地下鉄のシシャネまで行ってホテルに戻ったので、その28番バスに乗ってカバタシュまで行くことにしたのですが、
バス停の表示は、路面電車の表示と違ってわかりにくく、カバタシュを乗り過ごしてしまい、結局、途中でバスを降りてタクシーでホテルに戻ったのでした。
というわけで行きも帰りも道に迷って大変だったのですが、ボスフォラス海峡クルーズそれ自体は、とても楽しかったので、イスタンブールに行かれた際は是非、参加されることをお勧めします。
窓越しに撮ったのでピンボケになってしまった。空に浮かんでる空飛ぶ円盤みたいなのはフェリー室内の照明が反射されたもの。なぜデッキに出て写真を撮らなかったのかと思うが、ようするにそれだけ写真に関心がないのです。
続く