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Channel: ジャックの談話室
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東アフリカ周遊(9)

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☆ 再びストーンタウンへ

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翌朝10時にまたモハメッドが迎えに来てくれて、彼の車でストーンタウンに戻りました。

バンガローで煩くガーガー音を立てる天井ファンをつけっぱなしにして寝たせいか、朝からお腹の調子が良くありません。

ベッドには身体を覆うのにペラペラのシーツ一枚しかなくて、多分、それでお腹を壊してしまったのでしょう。

途中、ガソリンスタンドに寄って、トイレを借りなくてはなりませんでした。

車の中では、昨日の続きでザンジバルに沢山、日本人女性が住んでいるという話になりました。

なぜそんなに多くの日本女性がザンジバルにいるのかと訊くと、モハメッドは「性格のせいだ」といいます。

「性格?」

「日本人は欧米人とは違うでしょ」

ザンジバル人は欧米人とは気が合わないが、日本人とは気が合うというのです。

わたし自身は、日本人がザンジバル人と特別、気が合うとは思わないのですが。。。

わたしのザンジバルの人間にたいする印象はとにかくガメツイということ。観光地だから仕方がないのかもしれませんが、寄って来る人間が全員、わたしの懐を狙っているような気がします。

たとえばストーンタウンのホテルのフロントの女性は、わたしにたいしていつも非常に愛想が良かったのですが、それはわたしが空港の送迎やパジェの送迎の車の手配を彼女に頼み、
ホテルのコミッションを含んだ割高のタクシー代をドルで支払っていたことと無関係とは思えません。

この日もわたしはホテルに戻ってホテル代を一泊分ドルで支払ったのですが、ザンジバル人はドルでの支払いをことのほか好むようで、彼女は大層、ご機嫌でした。

というようなわけで、彼女がわたしに愛想を振り撒くのは、ドル札のためだとわかっていたので、それでわたしのザンジバル人の人間性にたいする評価が上がることもなかったのです。

たとえば、今回、帰国前の最後の夜はナイロビのINKS HOTELに泊まったのですが、朝、チェックアウトを済ませて飛行場に行くまでの間、ホテルの食堂で地元の新聞を読んで時間を潰していたら、

フロントの男性が話しかけてきて、「もしよければ空港に行く時間が来るまで、あなたが無料で部屋に滞在できるようにマネージャーに頼んでみるが」といってくれました。

その必要はないと断りましたが、こういうのが本物の親切というのであって、そのような親切には、わたしはザンジバル滞在中には一度も出会うことはありませんでした。

この運転手のモハメッドだって、昨日の朝、はじめて会ったときに、やれスパイスツアーに行かないかとか、プリズンアイランドのツアーに行かないかとかしつこく誘ってきて、わたしを金儲けの対象としてしか見ていなかったのは明らかです。

空港でわたしを待っていたムスタファというタクシーの運転手も同じで、わたしにたかる気、満々で、自分の名刺をわたしに渡して「いつでも連絡してください」と熱心に売り込んできました。

お陰で、わたしはザンジバル滞在中は歩くATMになったような気分でいたのですが、ザンジバル人のがめつさに辟易することはあっても、ザンジバル人と気が合うなどとはまったく感じませんでした。

モハメッドのいうザンジバルに住んでいるという日本女性たちは、そういう観光客にたかる連中とは違う親切なザンジバル人と出会って恋に落ちたのかもしれませんが。。。

いずれにせよ、自分の意志でザンジバル人の男性と結婚してザンジバルに住む決心をした彼女たちの人生を赤の他人であるわたしがあげつらうのは不謹慎かつ僭越だと思ったので、それ以上は何も言いませんでした。

ストーンタウンに昼前に戻り、お腹の調子が悪かったのでラマダンに付き合って昼食は抜きにして、午後はストーンタウンの土産物店を覗いたりして過ごしました。

迷路のように入り組んだ小路が続くストーンタウンを歩き回るのは楽しいですが、同じような迷路の多いモロッコのフェズやマラケシュの町と異なるのは、街を作ったのはアラブ人でも住んでいるのは黒人だということです。

つまりこの町に住んでいるのはアラブ化したアフリカの黒人なのですが、わたしがこのストーンタウンを魅力的に感じるのもまさにその点、この町がわたしの好きなアラブ文化と黒人アフリカ文化が融合した場所だからです。

あとストーンタウンの寂れた雰囲気も良かったです。

昔は栄えたけれど、今は落ちぶれてしまった町に特有の過去の歴史の廃墟に立ち会っているような気分を味わえる場所がわたしは好きなのです。

そういえば、わたしがこよなく愛した改修前のシンガポールのラッフルズホテルも過去の歴史を偲ばせる風情のあるホテルで、

修復を重ねた建物の痛み具合が、過去、このホテルで繰り広げられた様々なドラマを物語ってくれるような気がしたものです。

その後、このホテルは大規模な改築工事が行われて、「ペンキ塗りたて」みたいになって一挙にその魅力を失くしてしまいましたが。

夜、オフシーズンで宿泊客が少ないために、わたしの貸し切り状態になっていたホテルの屋上テラスに置かれたソファに寝そべってビールをちびちび飲んでいると、アザーンが聴こえてきました。

わたしはイスラム教徒ではありませんが、アザーンの調べは好きで、聴いていると恍惚としてきます。

特に今はラマダン中で、夕刻のアザーンもいつもより長く、丁寧が気がするのですが、それに耳を傾けていると、

「ああ、自分は今、イスラム世界にいるのだ」

としみじみ感じ、無理してでもザンジバルに来た甲斐があったと思ったのでした。


ストーンタウン

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港の周辺
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続く

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