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Channel: ジャックの談話室
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エチオピア周遊(9)

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☆ バハルダールからラリベラへ
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ラリベラ村のメインストリート

バハルダールに3泊したあと、今回の旅行の一番の目的地であるラリベラへ。

私が初めてラリベラの存在を知ったのは、映画「エクソシスト2」(1977)を観たのがきっかけです。

「エクソシスト2」は、世界中でヒットした映画、悪魔に憑依された女の子を救うためにカトリックの神父が悪魔祓いの儀式を執り行う「エクソシスト」(1973)の後編で、

作品としての質はパート1に劣るものの、この映画にラリベラの岩窟教会が出てくるのです。


リチャード・バートン演じる悪魔祓いの儀式を研究しているカトリックの神父が、アフリカに悪魔祓いができる呪術師がいると聞いてはるばる会いに行き、

その旅の途中で、険しい山岳地帯の断崖絶壁の上に建つコプト教の岩窟教会に迷い込むのですが、

その岩窟教会と険しい山々の特異な景観が強く印象に残り、映画を観終わってから調べてみたら、そこがエチオピアのラリベラというところであることが分かったのです。

それ以来、いつかラリベラに行ってみたいと願いつつ、日々の生活に追われて中々、実現の機会がないままン十年の歳月が流れ、今回、ようやくその願いがかなったわけです。

バハルダールからラリベラへの飛行時間はわずか30分。

空港のターミナルビルを出ると髭面の男が話しかけてきて「どこのホテルに行くのか」と訊くので、ネットで調べてきたAホテルの名前を告げると、

「わかった、そこまで送っていく」と待機していたマイクロバスに乗るようにいいます。

マイクロバスは同じフライトで着いたほかの外国人観光客も一緒に乗せて険しい山道を小一時間走って、ラリベラのAホテルの前に着きました。

空港からラリベラまでの輸送は、バハルダールのときのように無料かと思ったら、そんなことはなくしっかり100ブル取られました。

あとで判ったのですが相場は70ブルで、30ブル、ボラれたことになります。

Aホテルのフロントで部屋の料金を尋ねるとシャワー・トイレ付きのシングルで300ブルとのこと。まぁそんなもんだろうと思い、このホテルに泊まるこ時決めました。


☆ラリベラの土曜市

この日は土曜日でラリベラでは市場が開かれるとのことで、岩窟教会の見物は翌日に回して、まず市場を見物することにしました。

ホテルを出ると若い男が寄ってきて、「日本人か? 俺は日本人が大好きだ」などと話しかけてきます。

無視して、市場が開かれている広場の方に坂道を下って行くと、途中、岩窟教会の入場チケットを販売するオフィスがあったので、とりあえずチケットを買っておこうと思って中に入ったら、昼休みで担当者がいないとのこと。

それで翌日に買うことにしてオフィスを出たのですが、ホテルの前からついてきた若い男がまだいます。それで、

「悪いけど君をガイドに雇う気はないよ。いくらついてきても1ブルも払わないから」といったら、すぐに消えていきました。

若い男を追い払ったものの、市場はかなり規模が大きく、だれかに案内してもらった方が効率よく回れるのは確かです。

それに市場が開かれている広場までたどり着くのに石段を下りて行かなければならず、この石段がかなり歩きにくい。

おぼつかない足取りで降りていったのですが、気がつくといつの間にか12歳くらいの女の子が私にぴったり寄り添っていて、石段でよろめくとさっと手を出して身体を支えてくれます。

その間も、若い男が次から次へと現れて話しかけてくるのですが、その女の子は、「彼らはツーリストにたかる悪い連中だ」といって私の代わりに追い払ってくれます。

それで自然と彼女の案内で市場を見てまわることになったのですが、かなりスケールが大きく、ざっと見たところ、二千人以上は集まっていました。

遠いところでは40キロくらい離れた場所からやってくる人間もいるそうで、この市場がこの地域の人々にとっていかに重要な役割をはたしているかよく分かります。
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女の子の案内で、家畜を取引きしている場所や穀物を売っている場所を見てまわり、また石段を上がって上の坂道に出て、ガイドしてくれたお礼に20ブル渡すと、不満そうな顔をして、

「私はお金なんかほしくない。私は学校に通っているので本が必要だ。これから私と一緒に本屋に行って本を買ってほしい」といいます。

なんか面倒なことになりそうな気がしたので、それを断って、20ブルを彼女の手に押し付けて別れたのですが、

あとで現地で知り合ったエチオピア人女性にこの話をしたら、20ブルは出しすぎだといわれました。そもそも子供には金を渡すべきではないといいます。

「本屋に行って本を買って欲しい」云々はラリベラの子供たちが外国人観光客にたかるときの常套文句だから無視して正解だったといわれました。

女の子と別れたあと、ホテルに戻るために坂道を上がっていったのですが、これが大変な苦行でした。

ラリベラは標高2700メートルある高地で、坂道をちょっと登ると息が切れ、道端の石に座って休まなければなりません。

それで思い出したのが、数年前にラダックのレーに行ったときのことです。

レーでは高台の上にあるゲストハウスに泊まったのですが、下の町に降りた帰路、急な坂道を登るのに息が切れて死ぬ思いをしたのです。

今回もラリベラが標高が高く、あちこち動き回ると疲れる場所であることを忘れていて、坂の上の方のホテルに泊まるという過ちを犯してしまったのです。

レーのときと違ったのは、ラリベラでは一人でなく、心配そうな顔をした子供たちに囲まれていたことです。

さっき20ブルを渡して追い払った筈の女の子もなぜかまだいます。

子供たちに見守られながらちょっと歩いては休憩、ちょっと歩いては休憩を繰り返してなんとかホテルまでたどり着いたのですが、

ホテルの玄関を入るときに、子供たちの一人、10歳くらいのヨハネスと名乗る男の子が、

自分の家は貧しくて学校を続けるのが難しい。勉強するためには本を買わなくてはならないけれど、お金がないから買えない。ボクと一緒に本屋に行って本を買ってくれないかと切々と訴えます。

ラリベラの本屋はこのガキ達のせいで相当、儲かってるんじゃないでしょうか。

子供達にどれだけキックバックが行くのか知りませんが。

続く



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