私は中長期的な日本の国益からいってヒラリーよりもトランプがアメリカ大統領になった方がいいのではないかと考えています。
「アメリカはかってのような力はなく、最早、サウジアラビアや日本や韓国などの同盟国を守ることはできない。韓国や日本は北朝鮮の核に対抗するために核武装すればよい」
このトランプの発言は物議を醸しましたが、これまで日本の再軍事大国化を防ぐために日本の核武装を容認しないことを国是としていたアメリカで、
共和党の大統領候補がこのような発言を公然と行ったのは画期的なことで、日本の保守派は彼の発言をもっと歓迎すべきだったと思うのですが、殆ど反応がなかったのは不思議です。
その後、トランプは日本の核武装について言及することはなくなりましたが、彼は自分が大統領になったら米軍の日本駐留費を全額、日本政府に負担させるといっています。
このトランプの姿勢は表面的には日本にとって不利なように思えますが、中長期的にみて日本がアメリカの属国を脱して完全な独立国家になる良いきっかけになるのではないかと私は考えています。
「いつまでもあると思うな。親と金」じゃないけど、トランプが大統領になって「もうアメリカには日本を守る力はなくなった。自分の国は自分で守ってくれ」といいだしたら、
これまで「なにかあったらアメリカが守ってくれる」と信じ込んでいた平和ボケの日本国民もさすがに慌てて、自国の防衛というものをもっと真剣に考えるようになるのではないかと思うのです。
トランプとの公開討論会で、ヒラリーはトランプに対抗して「同盟国は守る」と明言していましたが、本当に守ってくれるかどうか怪しいものです。
最近、ヒラリーがアメリカの大手金融会社、ゴールドマン・サックスで行った非公開の講演で尖閣問題について、
「従来、棚上げ状態だったものが中央政府に行動を強いた日本の国粋主義者によって悪化した」
と発言していたことがウィキリークスによって暴露されていますが、彼女の尖閣諸島に対する認識がその程度のものであるならば、中国が尖閣を攻めてきたときに本気で対応してくれるとは思えません。
それならば最初から「アメリカに期待するな」とはっきりいっているトランプの方がまだマシで、日本としてもそれなりの覚悟を決めることができるというものです。
そもそもアメリカ民主党は伝統的に反日親中です。
日本にパールハーバーを攻撃させるようにしむけたルーズベルトも、広島と長崎に原爆を落としたトルーマンも民主党の大統領で、
ヒラリーの旦那のビル・クリントンも大統領だったときに当時の中国の国家主席だった江沢民と組んで、
日本が大国化するのを防ぐために日本の国際社会における評判を貶める目的で、
南京大虐殺や慰安婦の強制連行などの「歴史問題」をねつ造して世界に広めたと中国通の評論家、河添恵子さんが指摘しています。
クリントン夫婦が運営するクリントン財団には巨額の中国資金が流入しているという話も聞きますし、ヒラリーが中国の味方になっても日本の味方になるとは到底、思えないのです。
現オバマ大統領も南シナ海で「航行の自由作戦」と称してアメリカの軍艦を航行させていますが、中国はそれを尻目に南シナ海の岩礁を埋め立てて3000メートル級の滑走路を建設しています。
オバマはそのような中国の傍若無人な行動をなすすべもなく見守っているのが現状で、オバマが本心では中国と事を構えるのを望んでいないことを中国は見透かしているのでしょう。
そもそもオバマ自身、「アメリカは最早、世界の警察官ではない」と言明していますし、民主党と共和党と立場は違っても、アメリカは最早、世界の覇権国家ではないという認識ではオバマもトランプも一致しているのです。
トランプは日米安保条約について、アメリカが敵に攻撃されても日本はアメリカを助ける必要がないのに、日本が攻撃されたときにアメリカが助けなければならないのは不公平だといっていますが、
彼は日米安保条約が日本の平和憲法とセットになっていて、交戦権を認めない平和憲法を日本に押し付ける代わりに、防衛はアメリカが引き受けることになった経緯を知らないのでしょう。
それでわざわざバイデン副大統領が「日本国憲法は日本に核武装させないためにアメリカが起草した」と発言して、トランプの無知をたしなめたのですが、
一般のアメリカ国民はトランプと同様、そんな70年も前の日本国憲法制定の経緯など知らないだろうし、
誰がアメリカ大統領になっても、東シナ海のちっぽけな島を守るためにアメリカの若者が血を流すことをアメリカの世論が容認するとは思えません。
ようするに尖閣も含めて、日本の国土は外国に頼ることなく日本人みずからの手で守らなければならないのです。
日本人はそんな当たり前のことを戦後、ずっと考えずに生きてきたのですが、国防をアメリカに任せて経済活動に専念したお陰で経済大国にはなれたけど、
国防という国家の基幹である重大事について思考停止に陥ることで、精神的に劣化し、退行してしまったと思います。
このまま、日本国民の平和ボケの状態が続くと、日本は滅びてしまいます。
1976 年に発表した著作『最後の転落』でソ連の崩壊を予言したフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッドは、2002年に出版した著作『帝国以後』 でアメリカの衰退を予測し、
アメリカがは2050年頃までにアメリカ大陸に引きこもり、北米大陸のリージョナルパワーに落ち着くと述べています。
つまり、アメリカは覇権国家ではなくなるといっているのです。
その結果、日本はアメリカとの軍事同盟を形式的に維持したとしても最早、アメリカに頼ることができず、単独で中国の侵略や北朝鮮の核に対抗できる軍事力を備える必要が出てくるのですが、
トッドは日本がその気になれば15年で最先端のハイテク軍事国家になれると主張しています。
トッドはまた東アジアのパワーバランスを考えて、日本は核武装すべきであると提言しています。
アメリカのバイデン副大統領は北京にいって習近平に「日本はその気になったら一晩で核兵器を作れる」といったそうですが、
日本に核兵器を作る能力があることを知っているにも関わらず日本の核武装を認めず、そのくせ日本に内政干渉ばかりして、最終的には日本を裏切る可能性のある民主党のヒラリーよりも、
日本を助けない代わりに内政干渉もせず、自衛のための核武装を認めるトランプの方が日本の国益からみて、よほど望ましいアメリカ大統領ではないかと思うのです。