☆ 出発
イスタンブールには過去、何回か行っているのですが、わたしの大好きな都市で、もういっぺん行きたいという気持ちになったのです。
利用したのは大韓航空です。
関空からイスタンブールまで直行便はなく、韓国の仁川空港を経由する大韓航空のフライトが一番、接続の便が良いのです。
過去、大韓航空は二度、利用したことがあります。
初めて利用したのは、たしか1978年頃、ヨーロッパに行ったとき。当時、大韓航空のヨーロッパ行きの格安航空券が安かったのです。
ただ乗り継いだ金浦空港の雰囲気は悪かった。
空港のビル自体、お粗末で暗いところだったのに加えて、空港にいる人間がアロハシャツなどを着たガラの悪そうな白人と一目でその種の女性とわかる韓国人女性のカップルや、
妓生観光にやってきた日本の中年男のグループばかりで、ちょっと異様な雰囲気でしたね。
二回目に利用したのは、1994年頃、インドのボンベイに行ったとき、このときも金浦空港でしたが、改装されて見違えるほど綺麗になっていました。
空港で働く男性職員は相変わらずニンニク臭い息を吐いていましたが。
で、今回は三回目で仁川空港でしたが、この空港を利用するのはこれが初めてです。
広いスペースを取った大きな空港でしたが、以前、テレビのワイドショーで、羽田空港の拡張工事が話題になったとき、
ある在日タレントが羽田をケチョンケチョンに貶して、仁川の代わりに羽田がハブ空港になるなんて無理だ。仁川と競争しても絶対に勝てないと熱心に主張していたことを覚えています。
しかしハブ空港というのは、アムステルダムのスキポール空港やシンガポールのチャンギ空港を見ればわかるように小国で作られるものなのです。
小国では、国民の数が少ないことから、自国民に頼るだけでは、空港を運営していけません。そのために他国からの乗り継ぎ便を増やして他国の利用客を呼び込む必要があるのです。
韓国も人口は5000万くらいで、そう多くはないので、仁川をハブ空港化するという方針は間違っていません。
しかし人口が1億人を超える日本の場合、日本人の乗客だけで空港を運営できてしまうので仁川のようなハブ空港は必要なく、
羽田空港をハブ化するというというのは、羽田を日本の国内線の拠点空港にするということであって、仁川のハブ空港化とは意味合いが異なるのです。
実際、2016年の統計をみれば、羽田空港の旅客取扱数は、7969万人で世界5位、5784万人で19位の仁川空港を大きく引き離しています。
日本のテレビ局は、何かにつけて日本と韓国を比較して韓国を持ち上げて日本を貶したがるのですが、このような偏向報道には毎回、ウンザリさせられます。
大韓航空ですが、ナッツリターンのナッツ姫とか、会議中に怒って部下に水をかけたその妹とか、社員に暴行を加えた姉妹の母親とか創業者一族の横暴な振舞いが話題になっていますが、
サービスや機内食、座席の幅とピッチなどについては、全体的にいって悪くなかったです。
少なくとも、先月、関空・ナイロビ間で利用したエミレーツ空港よりはマシでした。
仁川・イスタンブール間の飛行時間は10時間30分。
イスタンブール行きのフライトのせいか、モニターで見られる映画の中にシドニールメット監督の『オリエント急行殺人事件』があったので、それを見ながら長時間のフライトに耐えていました。
イスタンブールのアタチュルク国際空港に到着したのは、現地時間の午後7時40分。
ターミナルビルを出たところにあるタクシー乗り場まで行って、最前列で客待ちしていたタクシーの運転手に予約していた市内のホテルの名前を告げて、「いくらか?」と訊くと、「メーターで行く」と答えます。
タクシーに乗り込んでから「メーターはどこだ?」と訊くと、「これだ」と正面のパネルを指さします。
そこには88.2 Mhzとの表示がありましたが、これは今、車内に流れているトルコポップスを放送しているFMラジオの周波数ではないのか?
そもそもガイドブックによると、空港から市内へのタクシー運賃は25リラから30リラで、88リラもする筈はないし、いずれにせよ、初乗り運転としては高すぎます。
「これはラジオの周波数だろう」といってやったら、バツの悪そうな顔になって、上の方に吊り下がっている小さな四角形の表示パネルを指さしました。
しかしそのメーターの数字、カシャ、カシャと音を立てて早いスピードで増えて行きます。
外はまだ明るいけれど、時刻はもう夜の8時、割増の夜間料金になっているのかも知れませんが。
結局、ホテルに着いたときのメーター料金は70リラ(1リラ=25円の換算レートで1750円)になっていました。
ガイドブックの記載料金と大きく異なっていましたが、私が持っていたガイドブックは古いバージョンで、最近、トルコはインフレで物価上昇が激しく、現地の価格はこのガイドブックの表示価格の大体2倍になっていました。
この運転手はメーターの嘘をわたしに見抜かれたためか、最後まで機嫌が悪かったですが、FMの周波数をメーターの数字と見間違えるだろうと考える彼の方がおかしいと思いますけどね。
イスタンブールでは、メトロや路面電車の路線は発達していないし、バスも地元の人間でないと乗りにくいのでタクシーをよく利用したのですが、イスタンブールのタクシーの運転手の質はかなり悪くメキシコに匹敵すると思いました。
予約していたのは、新市街ベイオウル地区にあるグランドホテル・デ・ロンドレ(Grand Hotel de Londres)
大層な名前のホテルですが、一泊6000円ほどの中の下クラスのホテルです。
このホテルにしたのは、19世紀に建てられた古いホテルで、ウェブサイトの写真を見る限り、クラシックな外観とインテリアが魅力的に思えたからです。
実際に訪れてみると、かなり古ぼけたシャビ―な感じのホテルで、まあ値段的にはこんなもんかなと思いました。
部屋はエアコンとホットシャワー、テレビが付いていて、道路に面してベランダが付いてました。
従業員は中年のオッサンばかりでしたが、大変フレンドリーで、テキパキ仕事する姿が好感を持てました。
ちなみに『オリエント急行殺人事件』の作者であるアガサ・クリスティが泊まったことで知られているペラパレスホテルは、つい目と鼻の先でした。
続く